いのちが危ない!! 守ろう!高額療養費制度

2025/05/21

高額療養費医療制度について、今年8月から26年度27年度と負担上限額を3段階で引き上げることが国会で問題となり、患者団体や多くの国民から批判の声が上がり、政府は引き上げを断念(凍結)しました。

高額療養費制度とは?

高額療養費制度とは、1カ月(月の初めから終わりまで)の間に医療機関や薬局の窓口で支払った額が一定の上限額を超えた場合、左記のように超過した分のお金が払戻される制度のことです。
医療機関にかかった場合、窓口で負担する医療費は総額の1〜3割で、残りは医療保険から給付を受けられるので、支払う必要がありません。ここで言う「医療費」とは、病院等の医療機関にかかる診療費だけでなく、調剤薬局等で処方される薬剤費も対象に含まれます。
手術や長期入院を伴う大病や大ケガをしたとき、公的医療保険制度の利用で自己負担額が1〜3割に減ったとしてもなお、多額の医療費を請求される可能性があります。その様な場合、高額療養費制度を利用すれば医療費の負担を軽減することが可能です。

自己負担額の上限は年齢や所得区分で異なる

高額療養費制度は、健康保険や国民健康保険といった医療保険制度の1つであり、各保険の被保険者が利用可能です。払戻される金額を計算するベースとなる自己負担限度額は、年齢と年収で異なります。
※厚生労働省のホームページ「高額療養費制度を利用される皆さまへ」に詳しく記載されています。

さらに自己負担を軽減する方法も

高額療養費制度は窓口で支払った後に払戻される制度なので、窓口で一時的に支払うことが負担となってしまうこともあります。その様な場合、一定の手続きをすることで、窓口での支払いをおさえられる仕組みがあります。また、世帯の医療費を合算することで自己負担をさらに軽減する仕組みや、医療費が高い月が続いたら自己負担限度額が引下げられる仕組みもあります。

目的は国の負担の抑制

「保険料負担の抑制につなげる」ために、年収700万円の場合自己負担限度額を約8万から約14万円に引き上げ、4回目以降の上限額も引き上げるという国が示した内容に、患者の負担を増して治療を中止せざるを得なくなるなどと、不安や怒りの声が上がりました。全国保険医団体連合会が集めた「引き上げの撤回を求めるオンライン署名」15万人分が、国に提出されています。

国民の医療を守るために

今は元気で健康な人も、いつ大きな病気になって入院や手術など治療に多大な費用がかかるかわかりません。現役世代で働きながら子育てしながら治療を続ける人も多く、高額療養費制度は私たち国民の命綱であり、上限額をもっと引き下げて欲しいという声も出ています。今回は断念しましたが秋までに再検討するとしていて、不安が残ります。
介護報酬の引き下げで、訪問介護事業所の倒産が増えていることを2月号でお伝えしましたが、社会保障が次々削られていく中で、人の命が守れなくなっています。
高額療養費自己負担限度額の引き上げは撤回させること。黙っていないで、人の命に関わる予算は削るのではなく増やすべきだと、声を上げていくことが必要です。